高圧受電設備(キュービクル)の監視用エッジPCの開発が完了しました。
はじめに
高圧受電設備(キュービクル)と聞いて直ぐ装置を思い浮かべる方は少ないと思いますが、オフィスやコンビニの横で見かける物置のような設備です。
写真のキュービクルは当社に設置されているものです。
一般家庭で使用する100V・200Vの電源は電柱等に設置された変圧器で降圧し各家庭に電線で引き込みますが、大きな電力を必要とする事業所や店舗ではキュービクルを設置し電力会社から送られてきた高圧(6600V)電気を低電圧に変換し利用することが多いです。これは、専用にキュービクルを設置することで、大量の電力を安く契約できるメリットがあるからです。
ただしキュービクルは毎月の保安点検が義務付けられており、点検は有資格者(電気主任技術者)が実施しなければなりません。しかし、設備は増えるのに対し有資格者の高齢化よる人員不足から近い将来点検業務に支障が出てくる可能性が出てきました。
そこで、国(経産省)主導で保安点検業務の自動化の推進(※注記)を行っており、現地に出向いて年間12回も行わななければならない点検を、自動化したキュービクルに対しては点検周期を緩和(2ヵ月に1回、または3か月に1回)する動きがあります。
こうした流れに沿って、当社では点検業務の自動化を行うための監視装置=エッジPCを、株式会社キューピクル様,ウィットシステムズ株式会社様と共同で開発しました。
※ 参考URL : https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/smart_hoan/denryoku_anzen/001.html
装置概要
キュービクルの保守点検は、毎月、主任技術者が現場に赴いて計測器で測定し下写真に示す点検報告書に手書きで記載し保管するといった作業になります。これを自動化するのが本装置の役目となります。
測定は、高圧受電部の電圧と電流、トランスにより降圧した電圧,電流,漏洩電流、および気温やトランス温度などです。
点検作業を自動化するために、電力計、漏洩電流計、温度計、場合によってはカメラをキュービクル内に設置し、「エッジPC」が測定器やカメラからの測定情報や画像を取り込んで、まとめてクラウドへ転送する装置を開発しました。これを利用することで、点検者は現地へ行かずとも点検作業の完了と点検報告書作成を実施できることになります。
メリット
高圧受電装置(キュービクル)用のエッジPCを介して点検作業を行う事で、
・現地へ行かずに点検作業が可能で、一瞬で点検報告書まで出力できる。(交通費、作業費のセーブ)
・人の手を介さないので、誤記などの人為的ミスが無くなる。(報告書の精度アップ)
・高圧作業の頻度が減る。(安全性の向上)
・装置不具合の早期発見と故障診断(利便性の向上)
といったメリットがあります。
商品化に向けて
エッジPCの試作機を2カ所に設置し本年2月からの評価を完了しました。 試作機は現在も稼働中ですが、さらに来月以降3か所を追加し本格的な稼働に向けた実地検証を実施予定です。
保安点検システム全体の名称を「スマート Cupicle まもるくん」(下記商標)とし、いち早くお客様に使っていただけるように商品化を進めておりますのでご期待ください。